様々なワインボトルの大きさガイド

お気に入りのワインを思い浮かべてみてください。グラスに注いだワインの色を眺めて、特別なその香りを楽しみ、風味やテクスチャーを味わい、後味を満喫する。もし、お気に入りのワインをワイングラス10杯分、20杯分、100杯分、それとも200杯分の大きなボトルで手に入れることができるとしたらどうでしょう?

みなさんのお気に入りのワインがそのような大きなボトルで販売されている保証はないのですが、(750mlのボトルで満足だとされていたかもしれませんが)驚くほど巨大なワインボトルが存在するのは確かです。ワインボトルのサイズについて読んでみませんか。ワインの世界に浸り、そして聖書に登場する王様や古代の偉人についても学んでみましょう。

スプリット/ピッコロ

みなさんの興味を掻き立てるために、小さなサイズから始めましょう。ワイングラス一杯なら、187.5mlのボトルがおすすめです。スプリットまたはピッコロと呼ばれるこのボトルは、グラス一杯分だけ飲みたい、または標準サイズのボトルを買う前に新しいワインを試したいときなどにぴったりです。このサイズは、シャンパンを一杯だけ出すときによく使われます。

ハーフ/デミ

友人やパートナーとのロマンチックな二人だけの時間には、375mlのボトルがいいでしょう。ハーフまたはデミという名前で知られているこのボトルは、ワイングラス2杯半くらいの量になります。

ハーフリッター/ジェニー

3人集まるとまあまあの人数になりますが、500mlのハーフリッターまたはジェニーという名前で知られるボトルがあれば、問題ありません。このサイズは、ワイングラス3杯分くらいの量になります。

スタンダード

このサイズのボトルは、私たちが一番馴染みのある大きさかもしれません。750ml、ワイングラス5杯分くらいのスタンダードボトルは、ディナーにはぴったりの量です。

リッター

リッターの大きさのボトルは、ワイングラス7杯分ぐらいになります。スタンダードボトルよりも少し大きく、ディナーにおすすめです。

マグナム

マグナムは1.5Lで、ワイングラス10杯分の量になります。彼女に振られてしまった悲しみを忘れるためにはちょうどいい大きさかもしれません。冗談はさておき!マグナムはラテン語で「大きい」という意味なのですが、このくらいならば、運ぶのもグラスに注ぐのも問題なく、でもここまで紹介してきた小さなボトルとはまた一味違う大きさです。マグナムはお祝いにぴったりの大きさです。また、詳しくは次で紹介しますが、大きなボトル使うのは、ワインの熟成に関しての知恵が関わってくるのです。

ジェロボアム/ダブルマグナム

3Lボトルのジェロボアムまたはダブルマグナムは、およそワイングラス20杯分にあたります。お祝いの席のためのボトルだと言っていいでしょう。前述で少し触れたワイン造りにおける知恵に関してですが、大きなボトルのワインは、小さなボトルに入ったワインよりもゆっくりと、さらに深く熟成します。これは、大きなボトルに入ったワインは全体として、コルクとワインの間にある小さな空間に溜まった空気とあまり触れ合うことがないためです。このすき間にある空気は、ウイヤージュと呼ばれています。ここで、聖書に出てくる王様についてご紹介しましょう。このボトルは、紀元前930-909年にイスラエル北部を納めていたジェロボアムという名前の王様にちなんでつけられました。

レオボアム、メトシュラ、サルマナザール

レオボアムは、ソロモン王の息子で紀元前931-913年頃にイスラエルを納めていた王様です。この王様にちなんで名づけられた4.5Lのボトルは、およそワイングラス30杯分です。メトシュラという6Lのボトルは、ノアの方舟の「ノア」の祖父の名前をとってつけられました。このおじいさんは、なんと969年も生き、洪水の前日に亡くなったと言われています。このボトルは、ワイングラス40杯分ほどで、大きなパーティにはぴったりの大きさです。ボルドー地方では、「インペリアル」とも呼ばれています。サルマナザールという大きさのボトルは、二人がかりでワインを継ぐ必要があります。その量は、なんと9Lでワイングラス60杯分(ワイン1ケース分!)もあります。この大容量のボトルは古代アッシリア王国にちなんでつけられました。

バルタザール、ネブカドネザール、メルキオール

バルタザールはなかなかユニークで、赤子であったイエス・キリストに没薬の贈り物を捧げた東方の賢者の一人であり、マケドニア王国の王様でした。バルタザールは、私たちには12L、ワイングラス80杯分のワインという贈り物をくれました。ネブカドネザールは15L、なんとワイングラス100杯分です。新バビロニア帝国を紀元前605-562まで治めた史上最長在位の王様です。

メルキオール、サロモン、ソブリン、プリマ/ゴライアス

メルキオールは、ペルシアの王様で、赤子のイエス・キリストに贈り物をした賢者の一人です。メルキオールは、金を捧げました。メルキオールの寛大さとその名を冠した18L、ワイングラス120杯分のワインボトルとの関係は、感慨深いものがあります。高名で多くの人に慕われたソロモン王の名前は、20L、130杯分のワインボトルにつけられました。ある宗教教義では、ソロモン王は王であると同時に預言者とされており、さらに700人のお后と300人の側室がいたと言われています。ソブリンは26L、ワイングラス175杯分の大きなボトルで、その次に大きなボトルはプリマ、またはゴライアスとして知られるボトルです。ゴライアスという名前は、紀元前1000年頃君臨したイスラエルのダビデ王によって制圧されたペリシテ人の巨人兵士のことで、大きなボトルに相応しい名前です。この巨大なボトルは、ワイングラス180杯分ほどの大きさです。

メルキゼデック/ミダス

最後に、ワインボトルの中で一番大きなボトルです。メルキゼデック、またはミダスと呼ばれる30L、ワイングラスなんと200杯分の大きさのボトルです。メルキゼデックは創世記においてサレムの王、そして高名な祭司として登場します。ミダス王は、ギリシャ神話において触れるものすべてを金に変えたことで知られています。

王様や預言者、神話の登場人物の名前にちなんで様々な大きさのワインボトルが名付けられたのはなぜでしょう?その起源はあまりはっきりしていないのですが、1700年代にシャンパーニュ地方でジェロボアムを導入した時に始まり、その後、大きなワインボトルが登場するたびに、その風習が引き継がれたと言われています。また、古い歴史を持つ飲み物であるワインに古代の書物に登場する名前を付けるのは当然であるという考え方もあります。

ここで紹介した名前の付け方でおおむね間違いないのですが、フランスでは地域的な違いがあります。ぜひ覚えておいていただきたいのは、ボトルが大きければ大きいほど、第三次発酵が上手くいくということです。このような理由から、熱心なワインコレクターはジェロボアムのようなボトルを好んでワインセラーに置きたがります!

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