従来型のワインメーカーが中国のインターネット通信販売に参入し、自分たちのワインを宣伝することに力を注いでいる現在、オンライン販売における競争は日々激化しています。Jingdongやタオバオ、Tmallなど大手プラットフォームはどれも効果的で、通信販売のためにウェブサイトを立ち上げる際、どのプラットフォームを採用するかはなかなか難しい問題です。
それよりも、インターネット販売において他者よりも抜きんでるための秘訣は、実はマーケティングにあります。プラットフォーム上でアクティブに活動し、斬新で魅力的なマーケティングを行うことによってブランドの認知度が上がり、売上げを伸ばすことができます。
では、中国のネットショッピングにおける主なホリデー商戦は一体、いつ行われるのでしょうか?ワイン販売業者も消費者もこのホリデー商戦を見逃す手はありません。ぜひ、カレンダーを用意してくださいね。
春節(旧正月)
1月1日~春節
その名の通り、春節のショッピングは中国の春節のお祝いと準備のためにeコマースプラットフォームが始めた季節のイベントです。太古の昔より、中国ではこの季節には友人や家族が集まり、お酒を飲んで喜びを分かち合ってきました。つまり、お酒は春節にとって欠かせないものなのです。
そこで消費者の多くは、春節に友人や家族のもとを訪れることを考え、この時期に行われるディスカウントやプロモーションを利用してワインを購入します。春節に向けて、高級で年代物の白酒から飲み口の良いワインまで、ありとあらゆるお酒が購入されます。
ここ数年間、主なeコマースプラットフォームでは自由貿易地域を利用して世界中のトップクラスの商品を中国に輸入できるようになりました。
フランス、イタリア、ニュージーランド、オーストラリア、チリ、その他100カ国ほどの国や地域のワインが購入可能になり、昨年の春節の時期には、膨大な数のワインが販売されました。オンライン上でも、様々なプロモーションや「1本買うと1本おまけ」といったディスカウントが常時行われました。春節の時期に特に売れ筋なのは、最高品質の赤ワインです。
ベスト・フレンズ フェスティバル
3月1日~3月8日
中国では3月は女性のための月です。多くの商店やeコマースプラットフォームでは3月の第一週目に女性の消費者をターゲットにしたプロモーションやディスカウントが行われます。社会的そして経済的な発展を遂げ、キャリアにおいても経済的にも女性が自立したことで、「シー・エコノミー(女性経済圏)」が到来しました。
3月7日の「ガールズデー」や「国際女性デー」などはシー・エコノミーと密接な関係があり、この時期はインターネット商取引においては大切な時期のひとつとなっています。ワインショッピングについてのオンライン記事にはこのように書かれていました。「大切なガールフレンドに特別な贈り物を用意せずに年の終わりは迎えられません。「ベスト・フレンズ フェスティバル」を祝い、次回のガールズナイトで楽しむための特別な一本はいかがですか?」
2018年のショッピングシーズンピーク時におけるeコマースプラットフォームの販売報告では、女性のワイン購入者が男性よりも増加傾向にあり、全体のユーザー数は前年度より62%増えたと報告されています。
運送やロジスティックサービスを行っているShunfengグループのShunfeng Bestは、女性の美に役立つと考えられている食料品を厳選し、販売するために「グローバル・ビューティプロダクト」コンセプトを率先して採用してきました。中国の女性消費者の間では、現在、南アフリカのレモンやニュージーランドのローズ・ハニー、イタリアのピーチスパークリングワインやその他多くの輸入品の人気が高まっています。
2018年のショッピングシーズンピーク時におけるeコマースプラットフォームの販売報告では、女性のワイン購入者が男性よりも増加傾向にあり、全体のユーザー数は前年度より62%増えた、と報告されています。アルコールに関係する他の商品においても同様の傾向が見られています。
517フード フェスティバル
~5月17日
中国語で517(5月17日を示す)は、「食べたい」というフレーズと音がとても似ているので、5月17日は中国の食文化をお祝いする日となりました。初めての517フードフェスティバルは2014年に行われ、インターネットの大手サイト、バイドゥ(Baidu)のグルメ食品のウェブサイトでは、食料品のフラッシュセールが随時行われました。
近年では、Tmall MarketplaceやHema Fresh Market、テイクアウトサービスのプラットフォームEle.meなど様々なプラットフォームにおいて、独自の「517フードフェスティバル」のイベントが行われ、オンライン、オフライン問わず多くのディスカウントが行われています。
このフェスティバルの期間中は、無料の飲食や大幅な割引という恩恵を受けられるだけでなく、食料品、飲料、エンターテイメントなどのフリーギフトが贈られることもあります。大手飲食店は、中国のグルメたちの驚くほどの食への探求心をよく理解しているので、食用の鳥の巣やチーズビスケット、日本酒、輸入ワインなど多くのグルメ食品を最安値1元という驚くべき価格で提供します。
2015年の517フードフェスティバルでは、グルメ食品向けプラットフォームDianPingが開催したイベントでは、5月15日10時の開始から24時間で2億元の売り上げを達成しました。このイベントには約200万人が参加し、100億食ほど用意されていた無料の食料品はたった2時間で全てなくなりました。
618ショッピング フェスティバル
~6月18日
2012年にJingdongが一年の半ばを過ぎたころに開催したプロモーションイベント「618ショッピングフェスティバル」は、今や、中国では「シングルデー」に次いで二番目に大きな一大オンラインショッピングイベントになりました。
2019年6 月1日~18日までの売上報告において、Jingdongはアルコール飲料の売上げが前年比40%増となっており、ワインの売上げは前年比41%増だったと報告しています。マオタイ、五糧液、ヘネシー、ラフィットなどの売上げは、特に目を見張るものがあります。ラフィットの売上げは前年比100%増である一方で、イエローテールやペンフォールズなど、中国の消費者に馴染みのあるワインのブランドは着実に市場での優位を保っています。
近年、ワイン市場に出現した最も斬新な販売キャンペーンと言えば、ラフィットグループが開発した双方向型のゲーム「Finding Wine’s Golden Ratio(ワインの黄金比を見つけよう)」です。このゲームで遊ぶことによって、消費者はブランドに対する理解を深め、オンラインで使用できるクーポンを手に入れることができるだけではなく、なんとチリにあるロス ヴァスコスワイナリーへの旅に応募するチャンスも与えられます。
その一方で、ラフィットは4月にFeichang Instituteをオープンしました。そして、2ヵ月に及ぶレクチャーを開始し、商品のプロモーションや、このゲームについての情報を発信し、618ショッピングフェスティバルに向けて消費者のブランドへの関心を引き付け、売上げを大きく伸ばすことに成功しました。
シングルデー
~11月11日
シングルデー(またはダブル11)ショッピングフェスティバルは毎年11月11日に行われるオンラインスペシャルセールの日です。元々は、2009年にタオバオモール(Tmall)が開催したオンライン販売促進イベントで、当初は参加するストアの数もディスカウントも控え目でした。
しかしながら、このイベントが予想を超えた成果を収めたことにより、11月11日はTmallにとって、毎年恒例のイベントとなりました。現在では、シングルデーは中国のeコマースにおいて一年を通して最大のイベントとなり、遂には国際的な規模でインターネット販売業界に影響を与えるようになりました。
現在では、シングルデーは中国のeコマースにおいて一年で最も大きなイベントとなり、遂には国際的な規模でインターネット販売業界に影響を与えるようになりました。
シングルデーは、eコマース市場全体で行われており、ワイン市場ももちろんこの「パーティ」に参加しています。今年のこのイベントにおけるTmallのプロモーションでは、300元の注文につき40元の割引、600元の注文につき80元の割引といった具合に、上限なしに割引が行われました。
消費者としては、このイベントを見逃すことはできません。今年のシングルデーのプリセールイベントでは、ほとんど全ての大手ワインブランドでは、オンラインストアでの買い物の際に各注文に対する割引のほか、「1つ買うと1つおまけ」や無料のドリンクウェアセットなどのプリセールギフトが贈られました。実際、あまりにもお得だったために、消費者は「無慈悲にも」多くの販売業者の在庫を一掃してしまいました。そして、10月末には、多くの業者は人気商品に対して「ご注文が殺到したため、現在、この商品は在庫切れです」というようなメッセージを掲げなくてはならなくなりました。
ワインのインターネット通信販売のプラットフォームYesmywineは、シングルデーのウェブサイト上での売上げは大幅に増加している一方で、Tmallを通しての販売はオンライン、オフラインを合わせた売上げの一部に過ぎないと話しています。インタビューでは、Yesmywineのワン・ヤン副社長は次のように述べています。「私たちの目標は利益をあげることにあります。Yesmywineが他のブランドと違うところは、どんなに大幅なディスカウントをしても、どれほど販売をしても決して在庫を切らすようなことがない、ということです。」
ダブル12
~12月12日
年の終わりに近づくにつれて、多くのワイン好きはダブル12に行われる年内最後のインターネット販売でのディスカウントイベントにおいて、お気に入りのワインをまとめ買いしておこうと心待ちにしています。アルコール商品の販売のピークは、たいてい秋冬のホリデーシーズンで、Jingdongの統計調査によれば、ダブル12のイベントでは10人に1人が赤ワインを購入すると報告されています。
Tmallで展開されているチャンユー(張裕ワイン)のオフィシャルストアのデータにおいて、この傾向は確実に示されており、張裕ワイン商品が好調な売上げを見せるのは秋冬ごろだと報告されています。特に、消費者の多くがホリデーシーズンに向けて贈り物や来客を迎える準備をする12月がピークだと言います。
ここ数年で見られるようになってきた見逃せない現象があります。買い物をする際に、カスタマイズや多様性を求める消費者が着実に増えてきているのです。インターネットの影響を大きく受け、消費者は自分の好みに合わせて商品の外観、ブランドアイデンティティ、テクスチャー、さらには配送方法も求めるようになってきました。つまり、1000人の消費者がいれば、1000通りの理想的な商品やショッピング体験が存在するということになります。
アルコール商品の販売のピークは、たいてい秋冬のホリデーシーズンで、Jingdongの統計調査によれば、ダブル12のイベントでは10人に1人が赤ワインを購入すると報告されています。
春節に向けて、より多様なギフトオプションを求める声に応えるため、そして購買を促し、さらに消費者との交流を深めるために、健康志向のワインブランドJingpaiは、同社がTmallに出店しているオフィシャルストアに参加をしてくれた消費者に対し、スペシャルメンバー限定の売れ筋商品へのアクセス権を含む特典を提供しています。
Jingpaiの顧客サービス担当者によると、ホリデーシーズンまでの購入履歴の分析から得られた購入商品の特徴やクライテリアなどを基に、ダブル12にはオンラインストア上に特別コーナーが設置されるのだと言います。特別コーナーには、新たなサービスとしてギフトボックス、新商品の体験、オンラインストアで買い物をする際の時間を節約するための様々な工夫などがあります。さらに、Jingpaiの顧客サービス担当者は「特別なサービスや新商品イベントを通して、さらに顧客を増やしていきたいと思っています。そのために、Tmallが提供しているデータツールを使うことで、より特別な、そしてより正確に的を絞ったサービスを提供することができると考えています」と述べています。