中国はオーストラリア産ワインに対して反ダンピング措置を取りました。何が、誰が影響を受けるのでしょうか?

中国はオーストラリア産ワインに対して反ダンピング措置を取りました。何が、誰が影響を受けるのでしょうか?

10月27日、中国商務省は、オーストラリア産ワインの輸入に対して、ダンピング防止関税を課すとし、反ダンピング措置を発動する仮決定を下しました。11月28日から実施され、オーストラリア産ワインの中国への輸入業者は100~200%の関税を支払うことになりました。

11月28日、中国商務省は、オーストラリア産ワインに対する関税は107.1~212.1%であると発表しました。さらに、現在、オーストラリア産ワインの輸入業者は新たな関税の支払いを求められることになりました。

12月10日、商務省は、オーストラリア産ワインは補助金を受けており、中国国内の関連企業が被害を被っているとの判断を下しました。公正な貿易を促進するためとして、中国に輸出されるオーストラリア産ワインに対して新たに反補助金措置が施行されました。反ダンピング措置としての関税に加え、12月11日よりオーストラリアの卸業者に対して新たに6.3~6.4%の課税が行われるようになりました。

このような措置により、輸入にかかるコストはうなぎ上りになり、それに伴いオーストラリア産ワインの価格も上昇し、オーストラリア産ワインの中国市場における価格の優位性を失うこととなりました。さらに、反ダンピング措置が長期間にわたって行われた場合、中国におけるオーストラリア産ワインの輸入業者や取扱店の数は減少し、小規模のワイナリーは中国市場から撤退することを余儀なくされる可能性が考えられます。

「トレジャリー・ワイン・エステーツやスワン・ワイン・グループのような大企業も影響を免れない一方で、小規模または中規模の輸入業者は、オーストラリア産ワインの取り扱いを減らさなくてはならなくなるだろう」と、中国へ輸出している輸出業者は話しています。

オーストラリアのワイン製造者にとって、中国市場は極めて重要

中国はオーストラリア産ワインに対して反ダンピング措置を取りました。何が、誰が影響を受けるのでしょうか?

ここ5年程、オーストラリア産ワインにとって中国市場は、毎年関税が下がり、2019年には関税率ゼロに達するなど、常に好ましい貿易環境にありました。市場におけるこのような好条件のもと、オーストラリア産ワインの中国市場におけるマーケットシェアは徐々に拡大し、ついに2019年にはフランスを追い越し、中国市場において売上高トップとなりました。

オーストラリア産ワイン全体の成功の大部分は中国市場によるものです。Wine Australiaのデータによると、2019年の中国本土へのオーストラリア産ワインの輸出は合計1.28 billionオーストラリアドル(約64億人民元、または9億5千万USドル)で、この年のオーストラリア産ワインの全輸出量の44%を占めました。

AskCIのデータベースによれば、2019年の中国のワイン輸入相手国トップ10は、オーストラリア、フランス、チリ、イタリア、スペイン、アメリカ、アルゼンチン、ポルトガル、南アフリカ、そしてドイツでした。このうち、オーストラリアが全体の35%、続いてフランスとチリがそれぞれ29%と14%でした。

今年の前半に、オーストラリア産ワインのダンピングに関する最初の申し立てが行われました

オーストラリア産ワインのダンピングに対する調査は、China Alcoholic Drinks Association(CADA)が中国商務省にこの問題を提起したことで、今年7月6日始まりました。

オーストラリアから輸入している赤ワインが「関税を通過しづらいという問題」が起こり始めたことを販売業者が感じ始めた11月上旬ごろから、オーストラリア産ワインが輸入禁止されるというリポートが出回り始めました。長期にわたり税関で留め置きされると口頭通知を受けたり、強制的に契約を破棄され、ワインを他国への販売に回すよう求められたりという動きがありました。この反ダンピング措置は一時的なものであるとされていましたが、現在、貿易業者の多くは、さらに関税が強化されるのかなどの不安を抱えています。

現在の暫定的反ダンピング措置の影響はどれほど大きいのか?

中国商務省の予備調査において、「オーストラリアから輸入されるワインにはダンピングが行われている。国内のワイン製造者は実質的な損害を被っており、オーストラリア産ワインのダンピングと国内ワイン製造者の損害には因果関係が存在する」との報告がなされました。

中国の反ダンピング規制によれば、反ダンピング措置の発動手順は、通常、調査、ファイリング、仮決定、最終決定、そして最終報告の順番で行われます。このモデルをオーストラリア産ワインに対するダンピング疑惑に照らし合わせて考えると、2020年8月18日に商務省によって調査結果が提出され、仮決定(現在の関税)が2020年11月27日発令されましたが、最終的な決定はまだ発表されていません。

この一時的な反ダンピング措置は、通常、施行されてから4ヵ月が限度とされていますが、特別措置として、最長9カ月間行うことができるとされています。つまり、今後、数か月のうちに最終決定が発表されるものとみられています。

オーストラリアのワインブランドは中国への輸出に際し、大幅なコスト増に直面

中国はオーストラリア産ワインに対して反ダンピング措置を取りました。何が、誰が影響を受けるのでしょうか?

多くのワイナリーは、この規制によってオーストラリア産ワインの輸入価格が大幅に増加することを懸念しています。現在、消費者に向けた最終販売価格を予想する方法はないのですが、確実に値上げが行われることだけはわかっています。

ワイン市場では、中国市場に残っている現在のストックがあれば、消費者は以前と同様にお気に入りのワインを購入することはできるので、2021年始めごろまでの需要をまかなうことはでき、買いだめのような現象は起こらないだろうとみています。しかしながら、オーストラリア産ワインの中国への輸入が今後どうなるかわからないため、人気の高いオーストラリア産ワインは短期的な値上がりが見込まれる一方、長期的なワインの供給や値段に対する影響に関しては予測の見込みが立たない状態です。

このようにオーストラリア産ワインの輸入業者が高いコストを維持しなくてはならない状況が続けば、輸入業者や販売業者はオーストラリア産ワインに代わるワインを探さなくてはならなくなる可能性が出てきます。そうなれば、中国・オーストラリア間のワイン貿易の今後に大きな影響を与えることになります。ワイン市場では、オーストラリア産以外のブランドへとビジネスの方向転換を行うまでは、多くの輸入業者が長年培ってきたオーストラリアとの取引関係を断たなければならない短期的な困難に直面するだろうと言われています。

今後の中国へ輸出されるオーストラリア産ワインは大容量サイズに?

調査の中で、商務省は2リットル以下のボトルに入ったオーストラリア産ワインだけを対象とするとしています。あるオーストラリア産ワインの輸出業者は、しかし、大容量ボトルはあまり一般的ではなく、多くのワインが2リットルのボーダーラインに引っかかってくるので、この措置はオーストラリア産ワインの輸入全体に影響を及ぼすだろうと述べています。別の見方として、元々の製品よりはプレミアム感はなくなるけれども、オーストラリア産ワインの製造者が中国への輸出に向けて大容量ボトルへと方向転換をしてくる可能性が考えられます。

オーストラリア産ワイン市場のサプライチェーンは、この商務省の規制は不吉な前兆だとみています。あるオーストラリア産ワインの輸出業者は、既に11月初めに関税が通りにくいという問題が発生していたと話しています。その際に、今後の輸入に関しては、以前の2~3日とは違い商品は一週間以上税関で留め置きされることになり、さらに既に港に到着しているものは十分な検査を受ける必要があるので、通関プロセスが遅れることになると通知があったとのことでした。そのため、この輸入業者はそれ以降の中国への輸入を取りやめ、今後の輸入契約に関しては保留にせざるを得なくなりました。

また、最近中国市場へ参入し始めたオーストラリアのワイナリーも同じような問題があったと報告をしています。11月初旬に中国の関税において留め置きが発生し、ワイナリー側はそれ以降の中国への輸出をとり止め、中国の輸入業者も同時に全ての発注を取り下げました。

さらなる関税の引き上げはあるのか?

中国はオーストラリア産ワインに対して反ダンピング措置を取りました。何が、誰が影響を受けるのでしょうか?

ワイン貿易の関係者は、最終決定の見通しは立たないけれど、現在の関税措置は暫定的である可能性があると述べています。ワイン貿易業者は、オーストラリア産ワインの中国におけるゼロ関税地位が失われてしまうのではないかと危惧しています。

2015年に開始した中国・オーストラリア間の貿易協定に基づいて、オーストラリア産ワインの輸入は4年連続で関税の引き下げを受け、2018年には税率2.8%、そして2019年には最終的にゼロ関税となりました。しかし、この一年で両国の関係が悪化したことを受けて、この黄金期が突然終わりを迎え、貿易業者は不安を抱えています。

「関税がかけられれば直ちに、中国市場においてオーストラリア産赤ワインが占めていた有利な立場が崩れ始め、オーストラリア産ワインを中心にビジネスを行っていた小売店は厳しい状態に直面するだろう」と、オーストラリア産ワイン評論家であり、貿易業を営んでいるジェレミー・オリバー氏は述べています。さらに、20%を超える関税が長期間続けば、中国市場におけるオーストラリア産ワインの競争力は大幅に減退し、オリバー氏は「スペイン、イタリア、フランス、波アフリカ、チリ、アルゼンチンなど他国のワインと比べ、価格の上での優位性はなくなるだろう」と話しています。

中国の消費者がオーストラリア産ワインを好む一方で、輸入業者は他の可能性を探すことを余儀なくされた

オーストラリア産のワインは「ニューワールドワイン」として位置づけられていますが、近年、フランスなどヨーロッパで生産される「オールドワールドワイン」にも引けを取らないほどになってきました。オーストラリア産ワインは一般的にフランス産ワインよりも安価な値段で購入することが出来る上に甘く、中国の消費者の味の好みに合っています。

このような要因で、オーストラリア産ワインは中国市場においてトップに躍り出ました。輸出業者は、シンガポールや香港へも出荷をしているものの、中国における売上は他のどの市場よりも多いと話しています。

輸入業者は、将来を見越して、オーストラリア以外の国からのワインの輸入量を増やすなど、積極的にオーストラリア産ワインに代わるワインを探しています。現在でも、フランスは中国の消費者にとっては「ワインの雄」として認識されていますが、中国への輸出がゼロ関税である国々(チリ、ニュージーランド、ジョージア)も、今後の成長が見込まれています。

さらに、新疆ウイグル自治区、寧夏回族自治区や山東省で造られるワインも国内で幅広く楽しまれていることを考慮すると、中国の消費者に向けた選択肢として国産ワインの成長も見逃せません。

Vicky

執筆者 ビッキー

ヴィッキーさんは、中国山東省にある小さな沿岸の都市、煙台で生まれ育ちました。煙台は、中国では有名なワインの生産地です。ヴィッキーさんは、修士課程在学中に世界のワイン産業における市場戦略について研究をしているうちに、大のワイン好きになりました。旅行と美味しいものを食べるのが大好きで、夢は各地の最高のワインを味わいながら世界中を旅行することだそうです。

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